Log 計算

対数で割り算を引き算に変換する方法

対数で掛け算を足し算に変換できるのと同様に、割り算を引き算に変換することもできます。これは同じ数学的原理の表裏一体の関係なのです!

すべての対数公式を確認したい方はこちらの完全ガイド →をご覧ください。

基本的な考え方

商の対数は、各数の対数の差に等しくなります:

logb(M÷N)=logb(M)logb(N)\log_b(M ÷ N) = \log_b(M) - \log_b(N)

[graph: 対数スケールでプロットすると割り算の曲線が直線になることを示す図]

なぜこれが成り立つのか

10を底とする簡単な例で理解してみましょう:

割り算対数を使用結果
1000÷1001000 ÷ 100log10(1000)log10(100)\log_{10}(1000) - \log_{10}(100)32=13 - 2 = 1
したがって:log10(10)=1\log_{10}(10) = 110=10110 = 10^1
掛け算との関連性

割り算は掛け算の逆演算であり、引き算は足し算の逆演算です。そのため:

  • 掛け算 → 足し算
  • 割り算 → 引き算 という対応関係が成り立ちます。

具体例で見てみよう

例題1:大きな数の割り算

8000 ÷ 400 を対数を使って計算してみましょう:

  1. log10(8000÷400)=log10(8000)log10(400)\log_{10}(8000 ÷ 400) = \log_{10}(8000) - \log_{10}(400)
  2. =3.9032.602= 3.903 - 2.602
  3. =1.301= 1.301
  4. したがって、8000÷400=101.301=208000 ÷ 400 = 10^{1.301} = 20

例題2:べき乗の簡単な計算

27÷232^7 ÷ 2^3 を計算する場合:

ステップ計算説明
1log2(27÷23)\log_2(2^7 ÷ 2^3)両辺の底を2とする対数をとる
2=log2(27)log2(23)= \log_2(2^7) - \log_2(2^3)商の対数の性質を適用
3=73= 7 - 3簡略化
4=4= 4したがって、27÷23=242^7 ÷ 2^3 = 2^4

実用的な応用例

  1. pH計算:化学でのpH計算では、水素イオン濃度の測定にこの性質を利用します
  2. 音量変化の計算:デシベル(dB)の減少計算には対数的な引き算が使われます
  3. 工学での比率:システムでの利得や損失を扱う際に活用されます
簡単な計算のコツ

同じ底を持つ数の割り算では:

  • 指数を引き算するだけでOK
  • 例:1000÷100=103÷102=1032=101=101000 ÷ 100 = 10^3 ÷ 10^2 = 10^{3-2} = 10^1 = 10

よくある間違いと注意点

注意すべきポイント
  • 0による割り算は対数形式でも定義されません
  • 対数の引き算では、マイナス記号の扱いに注意が必要です
  • 最終的な答えを求める際は、対数から元の形に戻すことを忘れないようにしましょう

掛け算と割り算の関連性

演算対数の性質
掛け算log(A×B)=log(A)+log(B)\log(A × B) = \log(A) + \log(B)log(30)=log(3)+log(10)\log(30) = \log(3) + \log(10)
割り算log(A÷B)=log(A)log(B)\log(A ÷ B) = \log(A) - \log(B)log(30)=log(300)log(10)\log(30) = \log(300) - \log(10)

練習問題

以下の割り算を対数を使って解いてみましょう:

  1. 1000÷251000 ÷ 25
  2. 28÷232^8 ÷ 2^3
  3. 900÷30900 ÷ 30

解答例と追加の練習問題 →

学習のポイント

掛け算と割り算の問題を一緒に練習することで、その関係性をより深く理解できます。覚えておくべきポイント:

  • 掛け算 → 対数の足し算
  • 割り算 → 対数の引き算